【著書】
教えなくて良い性共育
(「はじめに」無料公開)
はじめに――「2つの線」が、親子関係を変えた物語
「ななこさん」は、夫と小さな姉妹と4人で暮らす、どこにでもいるお母さんです。
上の娘が5歳になり自我をはっきり示し始めたころから、「距離感」と「接し方」の難しさに直面しました。わがままを叱れば泣き、甘やかせばエスカレートする。どう寄り添えばいいのか分からず、夜な夜な「検索窓」に「育児 イライラ」と打ち込む日々が続きます。
そんなある日、娘がふと尋ねました。
「ねえママ、赤ちゃんってどうやってできるの?」
ななこさんの心の中で「その話、やめて!!」と胸が凍るような感覚が走りました。
実は、ななこさんが幼い頃に同じ疑問を母に質問したところ、とても困った顔をして無言で遮られた経験があったのです。その時、「あ、こういった性のことは親に聞いてはいけないんだ」「恥ずかしいものなんだ」と思い込み、現在に至ります。
娘からの問いは、封印していた罪悪感や怖さ、恥の感情が湧き出たのです。
「性の話にフタをして、娘に自分と同じ思いをさせたくないよなー……」
モヤモヤを抱えていたある日、保育園からのあるお知らせのチラシを受け取りました。
「助産師の田川智美さんと、“命と性のお話会”を開きます」
ななこさんは直感的に「行けば、何かを変えられるかもしれない」と思い、参加することに。
田川「大人の方が“性”って言葉を聞く聞くと、まだまだ話しづらいって感じる人もいますよね。でも、“命の話”だと思って聞いてもらえると嬉しいです」
子どもたちが笑顔で命や大切な体の部位を学び、「いのちってすごいねー」と言い合う姿に胸が熱くなり、目の奥がじんとしました。
(出産した時、私は何も子どもに求めてなかった。元気でいてくれたらそれでいいって思っていたはずなのに、いろんな条件を押し付けちゃってるなー・・・)
その日、田川のインスタグラムをフォロー。定期的にインスタライブを視聴していると、無料のZOOM講座があることを知り、申し込みました。
「娘のためにも、自分のためにも変わりたい!」
そんな覚悟で、6回コースの「個別性共育講座」を受講することを決めたのです。
講座でななこさんが受け取った核心は、とてもシンプルでした。
わたしと娘は別の人間。
だからこそ、お互いを守り、尊重する「境界線」が必要。
この「境界線」を大切にしながら、つながっていくことで、信頼関係を育んでいけるんだ――。
「境界線(Protection)」と「つながり線(Connection)」という2つの線――。
これらを図解にすると次の通りです。
大人側の一方的なルール設定が子どもの成長の壁になることも
ここまでのお話は、保護者である“ななこさん”視点でしたが、教育や支援の現場でも同じような課題があるんです。
私たち「親世代」は、「イヤって言っちゃいけない」とか「空気読んで我慢するもの」という環境や文化で育っているため、子どもにもそういう価値観で接する人が少なくありません。
これは、これまで講演活動や講座を通して、たくさんのご家庭や教育現場と関わる中で、私が何度も目にしてきた現実です。
たとえば、親が過干渉になってしまうケース。
「〇〇はダメ!禁止!」というルールが増える一方で、関係は深まりません。また、子どもも自分で考えて選ぶ力や、社会で生きていくためのコミュニケーション力が育たなくなってしまいます。また、性の情報源であるネットを制限したり、ただ遠ざけていることも。でも、それだけでは子どもを守れるかということにはなりません。
逆に、放任過ぎる状態になってしまうこともありますよね。
例えば、教育現場で「生徒とは最低限で関わる=安全」というようになると、信頼関係を築くことが難しくなり、性や人間関係の悩みの相談もできない間柄になってしまうのです。
だからこそ本書では、
「境界線」を、お互いを尊重して守り合うもの。
「つながり線」を対話で、心と信頼関係を結ぶものと位置付けています。
この2つの線をセットで大切にできることで、親は安心して見守り、先生は自信を持って指導し、子どもは尊重されながら成長する――そんな“三方良し”の関係が育まれていきます。
実際、ななこさんのご家庭では、お子さんとのコミュニケーションが変わり「ありがとう」「楽しい」が飛び交うように。元々、無関心だった夫も性教育に関する書籍を自ら購入したり「性についての防犯意識が高まったし、お互いに相談しやすくなったね」と笑います。
ななこさんの学びと行動により、家族の空気が、柔らかくあたたかいものへと変わったのです。
はじめまして、田川智美です。
助産師として20年、性共育講師として14年間活動しています。
主にさいたま市内の保育園・小学校・中学校・高校と、児童発達支援・放課後等デイサービス、企業研修で、約2万人に「命と性」の講座を行ってきました。
ちなみに2024年度は、学校36回、保護者向け8回、幼稚園2回、放デイ3回、その他3回。計52講演を実施しました。
講演依頼で最も多いご相談は、
「子どもとの距離感が分からない」
「性の話について、何をどこまで話していいかわからない」
というような、コミュニケーションの課題についてです。
私自身が思春期の3児の母(高3、中3、小6)の子育て真っ最中ということもあり、皆さんのお悩みを聞きながら「そうですよね・・・!」とめちゃくちゃ共感しています。
「距離感」は、「感覚」なので、一方通行で説明したり「教える」だけではなかなか腑に落ちません。
そこで、子どもたち向けにわかりやすい言葉で楽しく知識を伝えるとともに、「ゲーム」の要素を取り入れ、『スキンシップ交渉ゲーム』や『同意ゲーム』などのプログラムを提供しています。
それによって、自他の命の大切さ、「同意・確認」を大事にすることを意識してくれるようになり、コミュニケーションが豊かになっているのを目の当たりにしています。
「命と性」の講演・研修活動を始めて、今年で15年の節目を迎えます。
これまでに得た経験と知識・考え方をまとめ、必要としているすべての家庭と現場へ届けるために本書『教えなくて良い性共育』を執筆することを決意しました。
本書の制作・出版にあたり、クラウドファンディングでご支援いただいた104名の支援者の方々と、数えきれない応援者の方々にあらためてお礼申し上げます。(書籍スポンサーのみなさまのお名前は巻末に掲載しております)
この本の内容を実践することで得られる3つの未来
①あなたの見守り力がアップし、子どもの自己決定力・表現力が育ちます。
「YES/NO」を選択でき、自他の権利を守ることができるようになります。
②「叱る」のではなく、より「対話」できるあなたに。「衝突」が「交渉」のチャンスに変わり、毎日のコミュニケーションのストレスが減少します。子どもが困った時に早期に相談してもらえる信頼関係が深まります。
③いじめ、ハラスメント、性加害・被害を未然に防ぎ、家庭だけでなく、学校・会社を守り、心地良い環境にしていくことができます。
保護者のあなたへ
「距離感が難しい」「つい叱りすぎる」「性加害・被害にならないようにしてあげたい」と感じているなら、本書の「境界線」と「つながり線」を大切にしたコミュニケーションをぜひ実践していただけると嬉しいです。
教育支援者のあなたへ
学級運営や支援の場で、「性を話題にしづらい」「指導が禁止で終わりがち」という壁にぶつかったとき、「境界線」と「つながり線」は子どもたちとの信頼関係構築や、主体性を引き出す実践フレームになります。
社員教育・人事担当のあなたへ
ハラスメント対策や、離職予防、社員がここで「働き続けたい」と思う職場づくりに取り組む際、「境界線」と「つながり線」は心理的安全性を高め、企業ブランドを高める共通言語になります。
「これ、わたしのことかも?」から入ってみてください
本書は大きく「4章」に分かれていますが、どこから読んでも大丈夫です。特に、「子育て・支援の中でよくいただく質問」については、第3章でQ&A形式にまとめています。
目次を見て、「これ気になる!」「わたしもモヤモヤしてた」というものがあれば、ぜひそこから読んでみてください。
なぜ、“事例”を載せているの?
「実はこの本を作る中で、私自身、ひとつ大きな壁にぶつかりました。
「2つの線(境界線・つながり線)」って、言葉だけで説明されても、なかなかピンとこないんです。しかも、「適切な距離感」って、人によって、家庭によって、学校によって、ぜんぜん違う。
だからこそ、私はこの本に、リアルな事例や、講演・現場で出会ってきた人たちとのエピソードをたくさん詰め込みました。
「この子の場合は、こういう関わりがちょうどよかったんだな」
「保護者が〇〇に気づいて変わっていったんだな」
――そんなふうに、あなた自身の“気づき”を見つけてもらえたら嬉しいです。
読み進める中で、「このQ&Aで出てきた“境界線”って、どういうことだったっけ?」と感じたら、第1章を読みに戻ってみてください。それぞれの章は、子どもとの関わりだけでなく、パートナーや職場、支援の現場にも応用できるように書いています。
あなたの「やってみよう」の背中を押したい
この本は、“もうすでにがんばっているあなた”を、さらに追い詰めるための本ではありません。
むしろ、「これくらいの声かけでよかったんだ」「まずは自分の線から整えればいいんだ」――そんなふうに、少しでも気持ちが軽くなったり、「やってみよう」と思える瞬間が生まれることを願って、書きました。ページをめくるたび、今日から試せるヒントと“小さな成功体験”が待っています。
”境界線”で安心をつくり、”つながり線”で未来をひらいていきましょう。
「子どもたちからの性の話」にどう対応すれば良いのかに戸惑われているかもしれませんが、安心してください!
「性は教えるのではなく、共に育む(性共育)」でOK!
共に「性」を学び、育むことが信頼関係構築に直結すると断言できます。
私も日々学びの最中ですが、この節目に、子どもたち・保護者の皆さん、教育関係者の皆さんからいただいたプレゼントを、あなたにお届けさせてください。
2025年11月1日
田川 智美
本書の目次
【はじめに】「2つの線」が、親子関係を変えた物語
第1章「境界線」――お互いの体と心の安心をデザインする
第1節:「わたし」も大切。「あなた」も大切。
第2節:「イヤだ!」と言って良い場所がある――”体の境界線”を守る力
第3節:「イヤだ!」は練習しないと言えない――”心の境界線”を守る力
第2章「つながり線」――信頼関係を結び、未来を守る
第1節:「確認」は、つながりのドア
第2節:信頼関係を育む!『同意ゲーム』という魔法
第3節:聞くことは、プレゼント
第4節:つながるための最大の壁「アンコンシャスバイアス(無自覚な偏見)」とは
第3章「子どもと信頼関係を築き、未来を守るための「性共育Q&A集」
Q1 親子間での性の話について、いつから、何を、どう始めれば良いですか?
Q2 子どもの自慰行為、性器いじりを見てしまい、戸惑っています。
どう関わればいいのでしょうか? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
Q3 いつまで抱っこしても良いのでしょうか? あと、一緒にお風呂に入っても
良い時期も気になります…。
Q4 子どもから「赤ちゃんってどうやってできるの?」と聞かれたら、
どう答えたら良いのでしょうか?
Q5 自分から子どもに性の話をしていくのはどうしても抵抗があるのですが、
良いアプローチはあるでしょうか?
Q6 命や性について学べるオススメ本を教えてください!
Q7 子どもから「ママのお股を見てみたい」って言われた!どうすればいいの!?
Q8 子どもが性被害に遭わないために気をつけた方が良いことは?
Q9 園児・小学生、中学生や高校生など、年代が違うと「性の話」って変わって
くると思います。講演活動を経てどんな”違い”を実感されていますか?
Q10 自分が子どもの頃は性教育をほとんど受けずに育ちました。親はどこで学べ
ばいいのでしょう? 学校の性教育の授業や講演に参加できるのでしょうか?
第4章 2つの線を社会にひろげる――
今後、一般社団法人TAGとして挑戦したいこと
【おわりに】命と性の話は、“恥ずかしいもの”ではなく、“大切なこと
【SPECIAL THANKS!】
・さいたま市大宮区の産婦人科 大宮林医院のご紹介
・株式会社 博愛社のご紹介
・株式会社 インクルージョンのご紹介
クラウドファンディングでご支援いただいた書籍企業スポンサー・個人スポンサーの皆様
全242ページ
【出版日】
2025年11月1日Amazonで紙書籍販売開始
11月23日から電子書籍の販売を開始
※Amazon kindle unlimited(月額読み放題契約)をされている人は0円で読むことができます。
書籍企業スポンサーの皆様
【ダイヤモンドスポンサー】
医療法人大宮林医院(産婦人科)理事長 林 正敏 様
https://omiyahayashi.com/
【ゴールドスポンサー】
株式会社インクルージョン 藤田 直 様
https://inclusionosaka.com/
【シルバースポンサー】
株式会社博愛社 村上 武白 様
https://www.hakuaisha.jp/
書籍10冊ギフト&個人スポンサーの皆様
久豊 満 様
株式会社Act One 様
https://acto-uno.com/
ママの素オンラインストア 様
https://mamanomoto.com/shopping/lp.php?p=a
書籍個人スポンサーの皆様
株式会社インクルージョン 長岡まいこ様
だーやま 様
水野由樹(やーじー) 様
立道久美子 様
井口直子 様
荒川ゆり子 様
大藤 勝 様
小堀 彩子 様
見沼のたかし 様
平澤めぐみ 様
元教師ながめ先生 様
西小PTA会長 水石 潤 様
VIDAカイロ大宮整体院 古川 一就 様
性の伝道師 助産師ミッキー(清水幹子) 様
松永 明大 様
山田 友紀 様
漆原 絢子 様
日野 沙織 様
大宮東小学校元PTA会長 長坂 兼一 様
木下 竜也 様
ちょう家のあやさん 様
新あすの会 江藤眞奈美 様
応援女神Makko様
内田 雅士 様
新藤 友啓 様
岡嶋 俊哉 様
MASA 様
うすいあつみ 様
小泉 万里子 様
島田 裕美子 様
大橋 隆重 様
森島 治子 様
ふじとも 様
三橋亜希子 様
中学校PTA会長・子どもの居場所事業
ボランティア 佐々木 卓 様
たまかあさん 様
清水 俊佑 様
星野幸子 様
クロスハート大宮カイロプラクティック 様
佐竹 純代 様
下田 様
WAX脱毛サロンkoko 様
たまみずき 様
尾上 宗章 様
皆川 美保 様
小原 修 様
はりきゅうアロマプラウ 永井 礼子 様
中田 剛 様
須田 達也 様
高橋 応和 様
鷲谷将太 様
ヤス1064 様
清水あけみ 様
本山 喬也 様
近藤 里咲 様
多聞 様
大山 伸善 様
村上 恭子 様
青木 みのり 様
A.KIMURA 様
るーみん 様
国民的アイドルグループSMAPの後継者
「漢塾」木村くん担当 水樹ハル 様
がっきー 様
(支援日順で掲載しております)
企業スポンサー対談
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著書へのご感想
【思春期のパパM様】
【性は恥ずかしいものではなく、「大切」なもの】と気づけて良かった
読み進めていく中で、【性は恥ずかしいものではなく、「大切」なもの】という意味が実感できます。特に、子どもとの距離感・コミュニケーションについて悩んでいる保護者にお勧めです。一人一人「適切な距離感」は違うのに、「普通はこうでしょ」と一律に接してしまっていたことに気づき、自分を切り替えることができました。子どもの「個性」や「特性」を認めやすくなり、衝突も減ります。子どもの可能性・自己表現力を高めていくために必要な「大人の在り方」に気づき、実践できる貴重な書籍です。教育者の方にもお勧めです。
【t.mom 様】
オススメしたい1冊!
読みやすくて、一気に楽しく読ませていただきました。
早速今日から、娘とのコミュニケーションで"確認"の作業を挟むようにしたりと
実践しながら、素敵な本に出会えて幸せだなぁと思っております。
"いや"と言っていいんだという気づきは、イヤイヤ期真っ只中の子育て中の私にとってなんだか目から鱗でした。大切な人にこそオススメしたい一冊です。
著者プロフィール
看護学校卒業後、看護師として4年勤務。産科に異動したことを機に助産師免許を取得し3年半勤務した後、結婚・出産を機に病院を退職。
育児中の2009年の冬、助産師の先輩が小学2年生に行った性教育の授業に参加したことを機に主にさいたま市内で「性教育ボランティア」の活動をスタート。
2024年8月8日には一般社団法人TAGを設立。2024年の性共育講演会は52講演(学校36回、保護者向け8回、幼稚園2回、放デイ3回、その他3回)。家庭・学校現場、企業が抱えている課題をヒアリングし、最適にカスタマイズした講演・研修内容を届けることを大切にしている。これまで約2万人に命と性の講座を実施。
これまでの
活動実績など
講演・研修動画
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